書類上の本社をアメリカに置くFC2
「アメブロ」(ameblo)と並ぶ大手ブログサービスであるFC2。ブログのほか、レンタルサーバーなどを展開しています。営業エリアは日本ですが、登記上は、米国ネバダ州ラスベガスに本社を置いています。
誹謗中傷ブログの削除を拒否
2010年、ある一般男性が、FC2のブログで悪質な誹謗中傷をされました。この男性は警察に相談した後、FC2に記事の削除を依頼したところ、最初のころは削除に応じていたものの、投稿者が次々と新しいブログを作っては同様の中傷を続けたことから、FC2側も「権利侵害が明らかでない」として削除を拒否するようになりました。
「発信者情報の開示」を求める
このようなネット上の名誉毀損事件では、まず、被害者がFC2のようなサイト運営業者に対して削除申請をするのが一般的です。削除に応じない場合は、書き込みをした本人を相手に裁判を起こすことになりますが、匿名で書き込んでいる場合は、まずその人物を特定しなければなりません。そこで必要になるのが、「発信者情報開示」というプロセスです。ブログ運営者会社が、ブログ投稿者の個人情報を訴えた人に教える行為のことです。
改正民訴法で提訴が可能に
しかし、従来の法律では、FC2に対して発信者情報開示を裁判で求めることができませんでした。FC2は登記上の本社がアメリカにあり、日本における代表者も主たる業務担当者も公式にはいないからです。ところが、2012年に改正された民訴法により、日本で活動する外国の会社も民事裁判で訴えることができるようになり、提訴に至りました。